アクセンチュアは、世界49カ国、150都市以上に拠点を持ち、約17万人の社員を擁する世界的なコンサルティング、システム・インテグレーション、アウトソーシング企業である。
そのなかで、日本法人の社員は約3200名(アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズを含む)。
そのトップに立ち、リーダーシップを発揮しているのが、2006年に45才という若さで代表取締役社長に就任した程近智氏だ。
程氏ご自身のこれまでのキャリアを振り返りつつ、コンサルティング業務と理系のキャリアについて、お話をうかがった。
2年だけのつもりが、いつの間にか20年以上に
留学は偶然だった?

意外にも、スタンフォード大学への留学は、自分自身に強い意志があって決めた訳ではないと程氏は打ち明ける。
「高校はインターナショナルスクールに通っていました。当時は、インターナショナルスクールから日本の大学に進学することは簡単ではありませんでした。また、親戚もアメリカに住んでいたこともあり、留学しやすい環境だったといえますね。」
留学は「たまたま」だったと笑う程氏がアメリカに留学した1980年ごろのスタンフォード大学では、留学生といっても、「企業戦士」と呼ぶような社費留学生が9割ほどを占めていて、現在とは異なる活気に溢れていたという。
程氏自身がユニークなキャリアと評する多くの人とは異なったキャリアパスを歩むことになった出発点が、このアメリカ留学だったと言えるだろう。
60億分の1億のカルチャー
程氏は、留学することによって、日本とアメリカの違い、日本と世界との違いをその肌で直接感じ取ることができた。中でも、そこで感じた日米の一番の違いは、アメリカでは「ハングリー精神」を露骨にあらわにするという点だという。日本人であれば自分の成功や成果について、自分が努力したことをことさらには強調しない。「謙譲の美徳」は、それはそれで美しい。しかし、と程氏は続ける。
「日本の人口は約1億3000万人です。しかし、世界には、約66億3000万人の人々が暮らしています。つまり、日本のカルチャーは地球の60分の1のカルチャーでしかないわけです。世界を相手にするには、60億の方のカルチャーを、少なくとも存在するということを理解しておく必要があるのです」
コンサルティングのおもしろさに気づく
程氏が留学を終えて帰国しても、日本企業、特にメーカーに就職することは難しかったという。学期の違いや、指定校制度などの日本企業の採用方法がアメリカの大学を卒業した程氏には、大きな障害となった。
程氏は、大手IT企業の日本法人をはじめ、いくつかの外資系企業に応募し、その中のひとつが、アクセンチュアであった。当時、程氏を担当したアメリカ人の面接官はMRP(資材所要量計画)の専門家で、程氏にMRPを学ぶことを勧めてくれたという。これが、程氏がコンサルティングの分野に携わるきっかけとなったのである。
「当時の面接官であった社長が、大学院に行くつもりで、アクセンチュアで働いてみてはどうか、と進めてくれたのが、入社のきっかけです。自分自身、2年ほど働いて、別の企業に就職するつもりでした。しかし、2年間コンサルティングをやってみて、コンサルティングがとても面白いことに気付きました。そして、2年どころか、もう25年以上コンサルティングに携わっています」